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名古屋市の電気工事士が解説!「現状復旧工事」と「リフォーム」は何が違う?

名古屋市を拠点に全国で電気工事や各種建築工事を手掛ける坂建設株式会社です。建設業界でキャリアを築きたいと考えている方の中には、「現状復旧工事」と「リフォーム」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。この2つは似ているようで、実は目的も内容も大きく異なります。今回は、現場のプロである電気工事士の視点から、それぞれの工事の定義、法的な背景、そして仕事内容の違いについて、分かりやすく徹底解説します。

そもそも「現状復旧工事」とは?

現状復旧工事とは、主にオフィスや店舗などの賃貸物件を退去する際に、入居時の状態に戻す工事を指します。原状回復工事とも呼ばれ、借りた空間を元の姿に戻すことが最大の目的です。建物の資産価値を維持し、次の入居者がスムーズに利用できるようにするための、非常に重要な役割を担っています。

 定義と目的:「元に戻す」ための工事

現状復旧工事の基本は、読んで字のごとく「現状」へ「復旧」させることです。具体的には、入居者が業務のために設置した間仕切り(パーテーション)、造作家具、独自の照明設備、追加したコンセントなどをすべて撤去し、契約書に定められた入居前の状態に戻します。

目的は、あくまでも「マイナスをゼロに戻す」ことであり、機能や価値を向上させる(プラスにする)ことは含みません。この点が、後述するリフォームとの最も大きな違いと言えます。

ポイント
現状復旧工事は、賃貸契約における「原状回復義務」を果たすために行われます。これは、借主が物件を明け渡す際に、借りたときの状態に戻して貸主に返還する義務のことです。

 法的根拠と対象範囲

現状復旧の範囲をめぐっては、貸主と借主の間でトラブルが発生しやすいため、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しています。このガイドラインでは、回復義務の範囲について明確な基準が示されています。

重要なのは、「経年劣化」や「通常損耗」は貸主の負担、「借主の故意・過失による損傷」は借主の負担とされている点です。

分類
具体例
費用負担者
経年劣化・通常損耗
(普通に使っていて生じる損耗)
・壁紙の日焼けによる変色
・家具の設置による床のへこみ
・画鋲の穴
貸主(オーナー)
借主の故意・過失による損傷
(不注意や通常でない使い方による損耗)
・飲みこぼしによるカーペットのシミ
・壁に開けたネジ穴
・タバコのヤニによる壁の黄ばみ
借主(入居者)

参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

 電気工事における現状復旧の具体例

電気工事士が現状復旧で担当する業務は多岐にわたります。単に元に戻すだけでなく、次の入居者が安全に電気を使える状態にすることが求められます。

照明器具の撤去と復旧:入居者が独自に設置したペンダントライトやスポットライトなどを撤去し、元々設置されていたシーリングライトなどに戻します。
コンセント・スイッチの復旧:増設したコンセントの撤去や、デザイン性の高いスイッチプレートを標準品に戻す作業を行います。
配線の撤去:オフィスで床下や壁内に張り巡らせたLANケーブルや電話線、専用の動力線などを撤去し、配線ルートを元に戻します。
分電盤の確認:契約アンペアの変更や回路の増設が行われていた場合、元の状態に戻し、安全に機能するかを点検します。

これらの作業は、建物の電気系統の安全性を担保する上で極めて重要です。

一方で「リフォーム」とは?

リフォームは、老朽化した建物の部分や設備を新しくしたり、機能を追加したりすることで、住まいや施設の快適性や性能を向上させる工事です。現状復旧が「マイナスからゼロへ」の工事であるのに対し、リフォームは「ゼロからプラスへ」の価値創造を目指す工事と言えます。

 定義と目的:「価値を高める」ための工事

リフォームの語源は「reform(改良・改善する)」です。その言葉通り、古くなったり、壊れたりした部分を修繕して新しくするだけでなく、より使いやすく、より機能的な空間へと作り変えることを目的とします。

例えば、和室を洋室に変更する、古いキッチンをシステムキッチンに入れ替える、断熱性を高めるために窓を二重サッシに交換するといった工事がリフォームに該当します。目的は、利用者(居住者や従業員)の満足度向上や、建物の資産価値の維持・向上にあります。

ポイント
リフォームは、既存の建物の骨格(構造体)はそのままに、内外装や設備を改修することが一般的です。工事の規模は、壁紙の張り替えといった小規模なものから、間取りの変更を伴わない大規模な改修まで様々です。

 よく比較される「リノベーション」との違い

リフォームと混同されやすい言葉に「リノベーション」があります。両者は明確に区別されていませんが、一般的には以下のように使い分けられています。

リフォーム(Reform):老朽化した部分を新築当初の状態に近づけるための「修繕・改良」。マイナスをゼロに戻すニュアンスを含む。
リノベーション(Renovation):既存の建物に大規模な工事を行い、新築時よりも性能を向上させたり、新たな価値を付加したりする「刷新・革新」。ゼロをプラス、あるいはプラスをさらに大きくするイメージ。

リノベーションでは、間取りを大幅に変更したり、耐震補強を行ったりと、建物の骨格にまで手を入れるケースが多く見られます。

 電気設備におけるリフォームの具体例

リフォームにおいて電気工事士は、生活や業務の利便性・安全性を向上させるための重要な役割を担います。お客様の要望をヒアリングし、専門的な提案を行うことも求められます。

リフォームの種類
電気工事の具体例
省エネルギー化
・従来の蛍光灯からLED照明への交換
・人感センサー付き照明の設置
・高効率な空調設備や換気扇への交換に伴う電源工事
利便性の向上
・生活動線に合わせたコンセントやスイッチの増設・移設
・USBポート付きコンセントの設置
・スマートフォンで操作できるスマート照明の導入
安全性の強化
・漏電ブレーカー付き分電盤への交換
・テレビドアホンや防犯カメラの設置
・古い配線の調査と引き直し

参照:国土交通省「住宅の省エネルギー 設計と施工 2023」

目的と技術で見る「現状復旧」と「リフォーム」の決定的違い

ここまで解説してきた内容を整理すると、両者の違いはより明確になります。工事の目的、規模、そして関わる技術者に求められるスキルセットも異なります。建設業界でのキャリアを考える上で、この違いを理解しておくことは非常に重要です。

 【一覧比較】5つのポイントで違いを整理

現状復旧工事とリフォームの主な違いを5つの観点から比較表にまとめました。

比較項目
現状復旧工事
リフォーム
目的
入居前の状態に戻す(マイナス→ゼロ)
機能・価値を向上させる(ゼロ→プラス)
主な対象
オフィス、店舗などの賃貸物件
住宅、マンション、商業施設など全般
工事の起点
賃貸借契約に基づく義務
所有者の意思(改善・修繕の要望)
設計の自由度
低い(元の状態に戻すことが原則)
高い(要望に応じて多様な設計が可能)
費用負担者
原則として借主(入居者)
原則として所有者(オーナー)

このように、両者は似て非なる工事であることが分かります。

 名古屋市における両工事の市場動向

私たちが拠点とする名古屋市は、現在、リニア中央新幹線の開業を控え、名古屋駅周辺や栄地区で大規模な再開発が進んでいます。この都市開発の活況は、現状復旧工事とリフォームの両方の需要を高める大きな要因となっています。

現状復旧工事の需要:再開発に伴い、既存のオフィスビルや商業施設からの移転が活発化します。企業がオフィスを移転する際には必ず現状復旧工事が必要となるため、安定した需要が見込まれます。
リフォームの需要:新たなオフィスビルやタワーマンションが建設される一方で、既存の中古物件を現代のニーズに合わせてリフォーム・リノベーションし、価値を高めて再活用する動きも加速しています。特に、働き方の多様化に対応したオフィスリフォームや、省エネ性能を高める住宅リフォームの需要は今後も伸びていくでしょう。

名古屋市という活気ある市場では、どちらの工事にも携わるチャンスが豊富にあります。

 求められる技術者のスキルセットの違い

工事の目的が異なるため、技術者に求められるスキルにも違いが生まれます。

現状復旧工事で求められるスキル
正確性・再現性:図面や仕様書に基づき、入居前の状態を正確に再現する技術が求められます。
スピード:次の入居者が決まっているケースも多く、限られた工期内で効率的に作業を完了させるスピード感が重要です。
幅広い知識:多種多様な内装や設備を元に戻すため、様々な建材や工法に関する幅広い知識が必要となります。

リフォームで求められるスキル
提案力・ヒアリング能力:お客様が抱える課題や要望を的確に汲み取り、専門家として最適なプランを提案する能力が不可欠です。
設計・デザイン知識:意匠性や機能性を高めるため、新しい建材や設備、デザインのトレンドに関する知識が求められます。
コミュニケーション能力:お客様や設計士、他の職種の職人など、多くの関係者と円滑に連携しながらプロジェクトを進める能力が重要です。

どちらの工事も高い専門性が求められますが、得意な分野や目指すキャリアパスによって、どちらの仕事がより自分に合っているかが見えてくるかもしれません。

どちらの工事も社会を支える不可欠な仕事

今回は、「現状復旧工事」と「リフォーム」の違いについて、電気工事士の視点から解説しました。現状復旧工事は建物の資産価値を維持し、円滑な不動産利用を支える「守り」の仕事。一方、リフォームは暮らしや労働環境をより良くし、新たな価値を創造する「攻め」の仕事と言えるでしょう。目的や求められるスキルは異なりますが、どちらも電気というインフラを安全かつ快適に利用できるようにするという共通の使命を持っています。そして、人々の生活や経済活動の基盤を支える、社会にとって不可欠な仕事であることに変わりはありません。坂建設株式会社では、こうした多様な工事を通じて、社会に貢献できる技術者を育成しています。

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